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會場我塾
議論先導者:會場健大(詰将棋作家・評論家)

會場健大(あいば たけひろ)

将棋書籍、雑誌編集者。学生時代に詰将棋創作を始め、『将棋世界』誌の年間最優秀作品賞を受賞。現在はその将棋世界誌で編集部員として勤務する傍ら、看寿賞選考委員を務める。

詰将棋からみる「知的遊戯」における遊びの感覚と美意識

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知的遊戯、とわれわれはなんとなくいうことがありますが、そこでの遊戯は日常言語で意味される遊戯となにか異なるのでしょうか。ある面では似通っているのでしょうか。 遊びの感覚と美的感覚とはどこかで通じるものがあるのでしょうか。 そうしたことを、提題者の専門である詰将棋の事例を見ながら考察していければと思っています。

 

詰将棋は将棋のルールを使ったパズルです。当初は将棋上達のための練習問題にすぎなかった詰将棋はしかし、作家たちの表現欲の発露によって、次第に将棋とはかけ離れた存在へと変貌していきました。 実戦には現れそうもない手順、過剰なまでのカリカチュアライズ、1000手を越える長手数、ストーリー表象的なアプローチ、対照的に無機質なロジックに特化するアプローチ、それらの融合……。挙げ句の果てには、詰将棋は将棋のルール自体への干渉と拡張をしてゆくに至りました。

 

詰将棋の歴史は、現実の存在としての将棋に対して、空想の力で抗う運動であったといえます。まずはそのような詰将棋の世界についてトピックを提示しつつ、遊びの領域においてフィクションの枠組みがもつ力であったり、人工的なゲームの中に見出される多種多様な美学のあり方というものについて、みなさまと考えていければと思っています。

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