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​塩瀬我塾
議論先導者:塩瀬 隆之(京都大学総合博物館 准教授)

塩瀬隆之(しおせ・たかゆき)
1973年生。京都大学工学部精密工学科卒業、同大学院修了。博士(工学)。京都大学総合博物館准教授を経て、2012年7月より経済産業省産業技術環境局課長補佐(技術戦略担当)。14年7月京都大学総合博物館准教授に復職。共著書に『科学技術Xの謎』『インクルーシブデザイン』など。日本科学未来館「“おや?”っこひろば」総合監修者、NHK Eテレ「カガクノミカタ」番組制作委員、文部科学省中教審「数理探究」専門委員、経済産業省産業構造審議会イノベーション小委員会委員なども務める。2017年科学技術分野の文部科学大臣賞など受賞多数。

アフォーダンスとはなにか
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ロボットに「椅子」を探させるのは難しい。背もたれのあるなし、ひじ掛けのあるなし、脚の高低、千差万別の「椅子」すべての画像を事前に学習させることは難しい。ソファは椅子なのか、座布団は椅子なのか、スーツケースに腰かけると椅子になるのか。わたしたちは椅子を見分けることができる。椅子がその部屋になくても、椅子の次に座りやすそうな「座れる場所」をいともたやすく見つけることができる。このような状態をよく説明する言葉の一つが、『アフォーダンス』である。
 「椅子」および「座れる場所」は、わたしたちに「座れる」というアフォーダンスをもっており、わたしたちはそれをピックアップするだけである。アフォーダンスは自分の居場所を教えてくれる。周囲の環境の中で、自らが「居ること」をゆるされた場所としての生態学的ニッチが獲得される。

問いとは何か
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「ロボットは意識を持ちうるか?」「社会がなくても心は存在するか」は深く考えるきっかけとなる問いである一方で、「ロボットの語源は何か」は単なる知識を問い、「宇宙に生命はいるか」は考えることを断念せざるをえないほどに検証困難な問いである。わたしたちを思考の衝動に誘うような「問い」とはどのようなものか、その深く考えるきっかけとなる「問い」を生み出すための方法論とはどのようなものか。

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