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谷我塾
議論先導者:谷 亮治(社会学者・京都市まちづくりアドバイザー・大学講師)

谷亮治(たに りょうじ)

1980年大阪生まれ。社会学者。京都市まちづくりアドバイザー。大学講師(同志社大学、京都精華大学など)。大学在学中に住民参加のまちづくりに関わり、研究と実践に携わる。博士(社会学)。代表作に「モテるまちづくり」シリーズ。

人の行動の理由としての「信仰」を考える

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この20年くらい、「住民参加のまちづくり」と呼ばれる営みに関わってきました。「住民参加の」という言葉には、ともすれば行政のような権力や大企業のような大資本の伴う営みとなりがちなまちづくりにおいて、特別大きな権力も資本も持たない一般住民が手作りで参加する部分、という含意があります。自治会、町内会やNPOのように、いわゆるボランタリーな地域活動で世の中に貢献されている親切な人たちの営みのことだととりあえず考えていただいて結構です。
 

当初は政策論的、組織経営論的な入口からこの道に入った私でしたが、ボランタリーな社会活動に長く寄り添ってきたせいか、「人はなぜ生きるのか」というような哲学的なテーマに考えが及ばずにおれない今日この頃です。さて、そんな前置きをしたうえで、今回私が皆さんに投げかけたいテーマは「信仰」です。このテーマを選んだ理由は、実は私の中にはなくて、この場に私をお招きくださった鼓谷さん(未来思考学会幹事)とお話していた時に、鼓谷さんが拾ってくれたキーワードなのです。


ただ、こうして鼓谷さんに拾っていただいて改めて考えてみると、信仰というキーワードは重要だなと思えます。というのも、前述の通り、ボランタリーな社会活動のメカニズムを考えていくと、そこに関わっている人々の内面、動機のような部分に着目することになります。それはいわば「その人は世界をどんな物語で見ているか」というもので、それは言い換えれば「何を信じているか」、すなわち「信仰」の問題であると思うからです。なので、私のまちづくり研究においても、本質的な部分かもしれないなあ、と思っていたりします。あなたはいま、何を信じていますか?どんな物語で世界を説明していますか?あるいは、何を信じ”たい”ですか?そんなことを考え、独白し、聞き合う時間になると面白いんじゃないかと、期待しています。 

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